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心理療法と企業:日本の現状についての一考察


1.心理療法に関する基本的な事項の説明

2.心理療法の必要性

3.日本の現状と問題点

4.JIPを設立した意義

5.企業に対するJIPの提案

6.JIPが具体的に企業に提供できること

7.まとめ


1.心理療法に関する基本的な事項の説明   

  心理療法とは、英語のpsychotherapy(サイコセラピー)という言葉の翻訳語です。サイコセラピーとは、身体と心を分けて考える西洋医学の中で、肉体つまり胃や腸の治療に薬を処方する、あるいは外科手術を行うといったphysicaltherapy(身体療法)に対して、「心」を治療する言葉として生まれて来ました。お医者さんが行う身体療法では、薬を与えたり、手術をして患者を治療しますが、心理療法は、基本的に身体療法とは全く別の枠組みで行われます。つまり、心理療法家が行うのは、クライアント(相談者)を支え、導き、あるいは情報を与えることで、クライアントのもつ自己治癒力がより効果的に働くようにすることです。

 心理療法が一般に理解されにくいのはこの点にあります。普通の人は日常生活で色々な問題に直面しても、自分でその問題を解決していきます。それが家族関係の問題であったり、会社での人間関係であったり、あるいは生きていく意味が見つからないといったものでも、たいていの人はたいていの場合自力でそうした問題を解決していきます。言い換えれば、誰でもそうした解決能力を自然にもっていると言うことです。ところが場合によっては、育ってきた環境や、今の人間関係、あるいは身体的な条件、その問題の性質などによって、この自然な解決能力が阻害される時があります。心理療法が役に立つのはそうした時です。ですから、何のために心理療法を受けるのか、と言った疑問は当然なのです。自分で解決能力をもつ人にはそうした支援は必要がないと思われるでしょう。また昔はそうした支援が、家族や友人といった人間関係の中で得られることもあったでしょう。ところが、人間関係が希薄になり、生きていく上での問題が複雑化してきた現代社会では、専門家としての特別な訓練を受け、知識と技術をもった心理療法家が、日常生活での様々な問題に立ち向かう支援をする必要が出てきたのです。

 今日行われている心理療法は、おおよそ100年前にオーストリアの医師ジークムント・フロイトが精神分析を始めたのが出発点でした。フロイトが時間(例えば1回1時間のセッションを週に4回行う)と場所(例えば患者が心理療法家のオフィスを訪れる)を決め、その枠の中で一定の治療費を患者が心理療法家に支払って行われる現在の心理療法の形を作りあげました。現在は通常週に1回、45分から1時間の枠で行われるのが普通です。また、費用はアメリカでは心理療法家の経験年数やクライアントの経済力などによってまちまちですが、おおよそ一回$50から$150くらいが相場です。但し、アメリカでは正式のライセンスを持つ心理療法家の心理療法を受けることに対し、保険でカバーされる仕組みが整っています。日本では多くの大学が学生相談室を設けており、主として学生の相談に応じています。、また病院でも精神科医の指導のもとで働く専門の心理療法家を置いている場合もあり、この場合は保険が適用されるケースもあります。こうした場合は1回数千円以内ですみますが、日本でまだ数少ない個人開業の心理療法家を訪れる場合は8千円くらいから2万円くらいまでの幅があり、しかも臨床心理士という資格があるとは言え、実質的には心理療法の質はまちまちです。

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2.心理療法の必要性

 これまでの日本では、心理療法は精神医学の付属物として、あるいはボランティア事業のようなものとして受け止められ、しっかりした社会的地位を得ていませんでした。しかし阪神大震災以来、心のケアの問題が一般にも広く浸透し、文部省の指導でスクールカウンセラーの設置が進むなど、ここ5年の間に心理療法の必要性はにわかに認められるようになってきました。また昨年から連続して起きている少年による犯罪などの問題が、日本社会における心のケアの充実が急務だと強く印象づけていると思われます。

 しかしながら、JIpが目指しているのは、たんに心のケアであれば何でも良いというものではありません。クライアント自身の治癒力を最大限尊重し活かしていく手助けをする心理療法は、精神医学とはまったく別の専門職として位置づけられるべきものです。たとえば家族や友人とのやりとりなど日常生活の中で自然と解決される場合もその人の自己治癒力が働きます。けれども心理療法は、同じ自己治癒力を活用するとは言え、わざわざ時間と場所を決め料金を払って行うものです。ですから心理療法家は、友人や家族とはまったく別次元の専門的な技量と覚悟をもっています。その専門性こそが、友人や家族との間では活かされてこないクライアントの自己治癒力を発揮させるのです。

 その専門性は人間心理についての専門的知識と、臨床経験、そして何よりも心理療法家自身の自己洞察力によるものであり、多くの時間と労力を得て始めて身につけられるものです。日本社会で必要とされている心のケアを提供できるのは、こうした専門性を持った心理療法家であるとJIPでは考えています。

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3.日本の現状と問題点

 ところが、日本ではこれまで長い間心理療法の必要性が社会で認められて来なかったために、独自の専門職として心理療法家を育成する環境はほとんど整っておりません。全国にある学校に常駐のスクールカウンセラーを置くだけでも1万5千人以上の心理療法家が必要です。ところが、現在心理療法士の資格をもっている人は6千人ほどで、また今後心理療法家を育成していくための指定大学院は全国でわずか20校ほどしかなく、そこを卒業する学生がそのまま専門家としての心理療法家につけたとしても社会の需要に応えていくには、ほど遠いのが実状です。

 こうした問題に加え、心理療法家の生活基盤がとても脆弱な問題もあります。これまで心理療法家は精神科の補助職員のような地位しかなく、確固たる専門性をもちつつ心理療法家として個人で開業できる人はわずかしかいないのが現状でした。大学院レベルで心理療法家の訓練を受けても、それに見合うだけの社会的地位や収入が得られるという保障はほとんどないのが実状です。これでは到底専門職としての高度な心理療法家を数多く育成できる環境は整っているとは言い難いのが実状です。

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4.JIPを設立した意義

 こうした現状に対し、心理療法家が社会的に専門家として認められるだけの教育訓練を提供し、その卒業生が個人開業し専門性を維持できる環境を整えた上で、日本社会に対し高度な専門性をもった心理療法家の活躍できる場を広げていくことを目的に、私どもはJIPを設立致しました。

 まず心理療法家が社会で高度な専門家として広く受け入れられているアメリカから最高水準の専門家を招待し、かつ日本の最高の心理療法家の協力を得て、日本社会で誰もが認めるような心理療法家を育成することから始めます。その存在は、日本の心理療法家教育のあり方に一石を投じることと思います。そうした心理療法家が専門家として自立できるモデルケースを作る事は、心理療法家を目指す次の世代の優秀な人材にとって大きな励みになることでしょう。

 現代日本社会で心理療法の必要性が高まりながら、その供給を担える高度な教育システムが整備されていない現状では、日米のトップレベルの専門家の力を結集し、大学院や心理療法の学派の壁に囚われない民間の活力によって事態を打開していくしかない、というのが私たちJIPの見解です。

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5. 企業に対するJIPの提案

 現在日本社会は大きな転換期を迎えております。戦後50年かけて育んできた社会システム、企業のあり方が見直されようとしています。しかし、そこで見られる様々な軋轢は、社会システムや一企業の問題ではなく、実は現代日本の教育のあり方、家族のあり方、生き方の問題に深く根ざしていると言えます。日本社会は、企業の存在を抜きには語れませんが、その企業は「人」によって成り立っています。ものを作る企業であれ、サービスを提供する企業であれ、企業は「人」を抜きには語れません。その「人」のあり方が根本的に問われているのです。

 この50年日本社会の発展は、企業の発展と軌を一にしてきました。多くの人々は学校教育を受けて企業に就職し、結婚して家庭を持ち、家庭を支え子供を育てながら老年を迎えます。ほとんどの日本人にとって人生のサイクルの中で企業の存在は大きな位置を占め、学校と家庭と企業は密接に結びついていました。とところが今この社会システムが大きく揺らいでいます。それは家庭や学校と企業の存在に大きなズレが生じてきた事です。そしてこのズレが企業で働く「人」のあり方にも大きな変化を生み出しています。日本社会という大きな面から見れば、現在多くの企業が抱える問題は、日本人の生き方、学校、家族、企業のあり方の問い直し抜きには解決できるものではありません。

 例えば、今企業の中で見られる人事的な問題「自分の仕事に対する意義を感じていない社員」「サラ金、別居、恋愛、争訟等の個人的理由による集中欠如や職場でのいじめいやがらせなどの人間関係」「働く」事以上に楽しいことが見つからない人材や職場での情報公開を阻み自分の領域を守ろうとする人材」は企業の生産性を大きく阻害し、グローバル化し転換期に立ち向かうべき企業の力を弱めています。

 こうした事態に対し一部の日本企業でも、心理学者と提携したり心理テストを導入し、社員の心の状態を把握しようとするところが現れています。けれどもいくら心の状態を把握しても、それを変えていく具体的な方法がなければ、解決策としては何の役に立ちません。社員の心のあり方、生き方の問題に対する支援までやってこそそうしたテストが生きてきます。その為には、専門的な心理療法の存在が不可欠なのです。

 90年代のアメリカの好景気は単に情報産業への投資の成功だけではなく、心理療法の成果を採り入れた従業員支援プログラム(EAP)によるものが大きいのです。従業員の家族関係や人間関係といった問題までを丁寧に扱うことで企業全体の生産性が飛躍的にあがることを、現在のアメリカ企業の人事政策は証明してきました。  

 JIPは、広く日本社会に対して、この大転換を促すための支援を提供するために一石を投じたいと思っています。JIPができることは限られていますが、 心理療法が現在日本社会に大きく貢献できるという一つのモデルを社会に示していきたいと思います。

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6.JIPが具体的に企業に提供できること

 マクロな視点からは、心理療法の普及を通じ広く日本人のあり方、日本社会の流れを変えることによって、企業を活性化することが可能でしょう。またミクロなレベルでは、個々の企業に対し、アメリカのEAPシステムの導入により、社員のい生産性を増大させるプログラムを提供出来ます。

 特にJIPが提携協力関係にあるSaybrook研究所は、そうしたより人間的な組織作りのコンサルタントとして全米で屈指の実績を誇っています。またJIPの顧問であるロナルド・ウオン・ジュ博士のQMDプログラムは、アメリカだけでなくヨーロッパでも企業のトップの研修に応用されています。その他にもJIPのもつリソースを使って、各企業の個別の問題に応じアメリカの最高レベルの心理療法応用プログラムを提供致します。

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7.まとめ

 こうした心理療法家の育成は、本来国家レベルで行われるべきプロジェクトです。しかし心理療法がまたがる領域が医療、学校教育、企業労務など多彩にまたがるために、現在政府レベルでこうした心理療法家の教育訓練の充実、あるいは経済的基盤の整備は行われていないのが実状です。

 しかし、これまで申しましたようにこの事業自体は、日本社会全体に関わる大きな問題に立ち向かうものであり、企業がこの事業に参画されることは日本社会全体の変換に大きく貢献されるものであると思われます。

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